2018/10/1に開幕し、半年にわたって熱戦を繰り広げてきたMリーグ。
そんなMリーグも、残すところあと2日で初代王者が決まります。
今回はその初代王者に最も近いチーム、ドリブンズの戦略に迫りたいと思います。
期待値稼ぎから2位いじめへ
ゼウスの選択、欲張りおじさん、リーチ超人、跳満おじさん、卓上の魔術師。
数々の異名を持つ彼らは、ファイナルステージでド派手なアガリを連発。
跳満、満貫、また跳満と大物手を炸裂させ、ファイナルステージ開幕時は4位だったことを忘れさせる快進撃を続けました。
そんな彼らの合言葉は「期待値」。
期待値を稼ぐことが優勝への最善手だ、という思想の元戦ってきました。
しかし、数々のタイトル戦を戦ってきた百戦錬磨の彼らには、もう一つの引き出しがありました。
それは、シーズン終盤で首位にいる時の戦略、「2位いじめ」です。
「東場は局収支、南場は着順取り」が現代麻雀のセオリーであるのと同じように、長期リーグの終盤にはライバルを蹴落とす戦略へとシフトしたドリブンズ。
では、具体的にどのように「2位いじめ」をしていたのでしょうか。
字牌の扱い
場面はファイナルステージday6、第1戦。
トータル首位はもちろんドリブンズ、そしてそれを追いかけるトータル2位は風林火山です。
ここで起用された園田選手の第一打は、でした。
自分の手で最もいらないのはオタ風の。
しかしライバル風林火山の親番ということで、最も鳴かれにくい1巡目にを切ります。
そしてこの風林火山を意識した字牌の先切りは、この半荘を通して続けられます。
東3局、風林火山は西家なので第一打。
東4局、風林火山は南家。
自分の手が悪いため、第一打はとしたものの第二打は2枚切れの
を残して
。
徹底して風林火山のアガリ率を下げる戦略を取ります。
一方で、先に風林火山が仕掛けたときは徹底的に絞ります。
東3局では風林火山の勝又選手がドラのをポン。
この時点では役牌バックかトイトイか混一色かはわかりません。
いずれにせよキー牌は字牌。
ここから字牌を切り出さない混一色へ。
更に自分の手がまとまってきても、を打ち出さない七対子へ。
徹底的に風林火山のあがりを阻止しに行く打ち回しでした。
プレッシャーをかける
続いてファイナルステージday7、第1戦。
東4局の親番で一気にトップ目に立ったたろう選手。
更に続く自身の親番で、風林火山勝又選手が2副露で以下のテンパイ。
捨て牌にはマンズが並び、ピンズの混一色やトイトイもあり得ます。
松本選手、前原選手はベタオリ模様。
そこでたろう選手は危険牌のを切ってリーチ!
断トツトップ目で、リスクを冒す価値はないように見えます。
しかしこの局、松本選手、前原選手はベタオリしており、自身がおりてしまうと勝又選手の1人テンパイが濃厚となってしまいます。
簡単にベタオリするのではなく、リスクを取ってでも風林火山を沈める。
そんな思考が読み取れます。
他家へのアシスト
ファイナルステージday7第3戦では、更に露骨な風林火山いじめが見られました。
東1局、親番はライバル風林火山の滝沢選手です。
寿人選手が自風のと
のシャンポンで先制リーチ。
これに対し滝沢選手、当たり牌の単騎で追いかけます。
2件リーチに挟まれた園田選手。
ここはベタオリかと思われましたが・・・
共通現物のではなく、
を切ります。
この、滝沢選手の現物で、寿人選手には無筋。
そう、差し込みです。
ここでも、簡単にベタオリするのではなく、リスクを取ってでも風林火山を沈めるという意思が感じられます。
次巡を挟んで、
で差し込み完了。
共通現物のと
を切らないあたりが憎いですね!
初代王者は目前
跳満、満貫、また跳満。
大物手を連発させてポイントを稼いできたドリブンズ。
優勝が目前に見えてきて、気持ちが守りに入ってもおかしくありません。
しかし、彼らは簡単にベタオリを選択しません。
自分があがれない局でも、最善を尽くす。
シーズン最終盤の最善とは、2位風林火山を叩くこと。
そんな「さぼらない」彼らが、残り1日で2位風林火山に付けた差は300pt。
ファイナルステージ4位スタートからの逆転優勝は、目前です。
(当記事の対局画像は、AbemaTV 大和証券Mリーグ2018より引用しています)
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